2021/09/18
境界の越境がある物件は結構多い!境界の越境がある物件の売買について
越境(えっきょう)とは、樹木などが隣との境界をはみ出してしまうことです。戸建住宅ではよく起こることであり、境界の越境問題でお悩みの方も多くいらっしゃると思います。特別にお悩みでない方でも、調べてみると、気づかないうちに境界の越境が起こっているケースも少なくありません。越境は思わぬトラブルに発展するので注意しましょう。今回は、越境が発生している不動産の売却についてご説明します。
なぜ越境が起こるの?
以前から建設されている物件では、出来る限り敷地を広く利用するために境界標の十字に合わせてギリギリに塀や土留め等を建設している物件が多いです。
建設当初からはみ出ている場合もありますが、地震や周囲の建築物の重さで地表がずれる場合もあります。
また、測量技術の進歩により、埋設されている境界標が元よりずれている事が発覚する場合もあります。
現在は、このような境界越境が起こらないように境界標の間は空けて塀などを建設する事が多いです。
また、樹木の越境も多いです。敷地の真ん中に植えていれば越境する事は無いでしょうが、それでは家が建てられません。当然敷地の端に植える事になります。
そしてお隣さんの敷地にも伸びていきます。当事者間で同意があれば問題ないのですが、新しく住む人でお隣から伸びた枝を好意的に思う人は稀でしょう。やはり売買前に切ってもらう必要があります。
現在(2021年9月)の民法233条では、越境してきた『木の枝』は切ってくださいと頼むことは出来るが勝手に切ってはいけないとしています。
『木の根』については切って良いとしています。
2021年4月公布の法改正で、『竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき』・『竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき』・『急迫の事情があるとき』については伸びてきた枝を切る事が出来るとされています。
実際に施行されるのは2023年頃になると思います。
いずれにしても日頃からのお付き合いが大事になってきます。
越境してると売れないの?
売れない訳ではありませんが対処は必要になります。
最近は、金融機関が境界の越境がある物件に対して敏感で、対処を怠った場合は購入予定者が住宅ローンを貸してもらえない場合もあります。
現金購入の場合は問題ありませんが、多くの購入希望者は住宅ローンを利用して購入するので大きな問題となります。
ではどうしたらいいの?
木の枝が越境している場合は切ってしまえば解決しますが、塀や土留めなどは越境しているからといって、お隣さんが早々に解体して解消してくれると言う事は難しいです。
この様な場合は『将来造り直す時に越境を解消する』という約束をします。
例えば『今すぐに越境しているブロック塀を解体してください』と言っても、直ちに了承してくれる人はほぼいません。
しかし、『将来、ブロック塀が老朽化して造り直す時には越境しないようにしてください』というと殆どの人が同意してくれます。
この内容を記載した覚書を交わす事によって銀行も安心して住宅ローンの融資をしてくれます。
この様な覚書を交わす交渉は、自分で行わずに土地家屋調査士や仲介を頼んだ不動産担当者に行ってもらうのが良いでしょう。
専門的な知識を持った第三者が交渉をする事で話がスムーズに進む場合が多いです。
まとめ
境界の越境は他人事ではなく不動産売買では多く見受けられます。
いざという時は専門家に入ってもらうことでスムーズな不動産売買が出来ます。
また、おとなりさんと日頃から良好関係を築いておくことも重要です。